春色緑雲

※新記事も書きつつ、過去の記事も整理しています。

報われるべき人が報われて欲しい

(『この森で、天使はバスを降りた』感想の続きです。)

 主人公がいなくなった後に、その息子は死んだと思い込んでいた兄に遭遇します。妬み嫉みの対象であった人物の苦節に思いを巡らせる事ができたことが、この息子のまだ救いがいのある一面でした。彼は村人たちの前で自分のした事を告解します。その後、彼も村人たちも彼女(主人公)のした事に全身全霊で報いていく、というのが最後の場面です。

 この猛暑の真夜中に、私は涙ぐみました。

 考えていたのは、「でも、やはり主人公に幸せが来て欲しかった。」ということでした。『ペイ・バック』という言葉があります。意味は「人の親切に報いること。人に応分のお返しをすること。」。『ペイ・フォワード』という言葉もあります。意味は「人から受けた厚意を、次の相手に渡すこと」です。ペイフォワードは本当に美しい人間の営みだと思います。しかし、それ以上に、あの時あの出来事が無ければ、主人公には別の幸せなストーリーが待っていたはずだと想像せずにはいられませんでした。

                           ※感想、了。